寝たきりになった際に困ることの1つに、外出時の玄関の段差の昇降です。
玄関の段差が低ければ、車椅子のまま段差を乗り越えることもできますが、車椅子を操作する介護技術が必要になります。
スロープを設置することで、誰でも簡単に安全に段差を昇降することができます。
そんな便利なスロープを紹介します。
介護保険でレンタル可能なスロープ
段差解消スロープは介護保険でレンタル可能です。
形や長さなど、各家庭の段差に応じて選ぶことができます。
スロープの形
スロープの形は2種類です。
2つ折りタイプ
真ん中から半分に折りたたむことのできる1枚板のスロープです。
特殊カーボンでできており、長さにもよりますが簡単に持ち運べるぐらいの軽さです。
滑りにくい素材でできており、300kgまでの重さに耐えることができます。
最近主流のスロープです。
セパレートスロープ
左右に分かれているタイプのスロープです。
アルミ素材でできており、少し重めです。
伸縮できるので、段差の高さに応じて長さを変えることができます。
一番のメリットは収納がかさばらないことです。
デメリットは、設置に少し手間が掛かることです。
車椅子のタイヤの幅にスロープを設置する必要があるので、少しだけ慣れが必要です。
スロープの長さ
セパレートタイプのスロープは長さが自由に変えられるので、その都度調整して使用しますが、折りたたみスロープは段差に応じた長さのスロープをレンタルすることになります。
レンタル可能なスロープの長さは、65cm~300cmです。
(メーカーによってはもっと長いスロープがあるところもあります)
長くなればなるほど、スロープは重くなりレンタル料も高くなります。
どの長さのスロープをレンタルするかは、設置する場所の段差をみてケアマネジャーや福祉用具専門相談員と相談をして決めることになりますが、スロープの長さの目安があります。
自分で車椅子を操作できる角度は5度
自分で車椅子を操作してスロープを昇降できる角度は5度と言われています。
5度の傾斜にするためには、段差の12倍の長さのスロープが必要です。
段差が5cmであれば60cmのスロープが必要になります。
介護者が楽に移動できる角度は10度
介護者が車椅子を操作してスロープを昇降する際の基本の角度が10度となっています。
これ以上に角度が大きくなると昇降にかなり力が必要になります。
10度の傾斜にするためには、段差の6倍の長さのスロープが必要です。
なんとか押して上がれる角度が15度
段差の状況によっては、長いスロープを設置することが困難なこともあります。
短いスロープしか設置できない場合でも、15度以上の傾斜になると危険になるため別の方法を考える必要があります。
15度の傾斜にするためには、段差の4倍の長さのスロープが必要です。
角度を付けることのできるスロープ
スロープは真っ直ぐなので設置する場所の直線距離が必要になります。
玄関などの形状によっては、スロープを設置したくてもできないことも多いです。
そのようなときに、角度を付けることのできるスロープが活用できることがあります。
30°、60°、90°と角度を付けてスロープを設置することができるので、写真のように段差と玄関が90°の位置にあってもスロープを設置することができます。
とても画期的で便利なスロープですが、いくつか注意点があります。
角度を付けた先にドアが来る必要がある
角度の付いたスロープを繋げて、最後に長い直線スロープを接続して使用します。
そのため玄関に設置する場合、角度を付けた先にちょうど玄関ドアがくれば良いのですが、ずれてしまうとドアを通ることができずに使えないケースもあります。
その都度付け外しが困難
スロープのパーツが増えるため、特に角度を付ける部分のスロープは置きっ放しにして使うことになります。
広いスペースがあったり、車椅子での移動しかしない場合には良いですが、家族と共有するスペースに設置する場合には邪魔になることもあります。
有効に使用するためにはいくつかの環境条件がありますが、上手く当てはまる場合には凄く役に立つスロープです。
スロープ使用上の注意点
スロープを使用しないときは、折りたたんで壁などに立て掛けておくことが多いですが、立て方によっては急に倒れてきたりスロープが開いてしまったりすることもあるので、収納する際には注意が必要です。
また、車椅子で屋内外を移動することになるため、玄関や廊下の汚れ対策も必要になります。
屋内と屋外の車椅子を分けて使用する方法もありますし、玄関や廊下にシートを敷いて汚れても良いように対応する方法もあります。
まとめ
車椅子を使用している方の安全な外出には必需品とも言えるスロープです。
病院受診やデイサービスなどの利用時に安全で楽に玄関の出入りをすることができるようになります。
介護保険でレンタルできますので、担当のケアマネジャーにご相談下さい。
室内で使用する短いスロープも介護保険でレンタルできます。