介護でよくある事例検討会、困難事例ではなく成功事例を検討すべき

介護業界の研修や勉強会で、『事例検討』をすることがよくあります。

研修内容の定番になっているようなところもありますが、個人的にこの事例検討は全く意味がないと感じております。

 

意味がないシリーズ第2弾です

第一弾はこちら

 

スポンサーリンク

そもそも『事例検討』とは?

介護業界における『事例検討』とは、実際にケアしている方の情報を元に、その方の現在の生活や今後のケアについて各種専門家で意見交換し、見逃している課題は無いか、より良いケアにするための方法はないかを話し合い、皆で共有することを目的としたものです。

特にケアマネジャーの研修などでよく行います。

実際に介護保険を利用している方の事例を取り上げることもありますし、テキストなどに載っている架空の人物を取り上げて事例検討することもあります。

 

理由1:イニシャルで事例検討する意味がわからない

事例検討をする際に取り上げる事例のほとんどは、名前や住所など個人を特定する情報を全て隠した状態で検討します。

実名を出して検討会をしているところもあるかもしれませんが、ほとんどの事例検討会は「Aさん」とか「Bさん」とか伏せ字で行っています。

それ故に事例を検討する情報の精度が一気に落ちて更に価値を下げています。

いくらその他の情報があったとしても、顔も名前もわからない方に対して有益な情報交換ができるとは思えません。

「個人情報の保護だから」と言われることも多いですが、個人情報の保護は個人に不利益になるようなことに情報を使われることから保護するべきためのものなので、個人のより良い生活のために話し合うために使うことには全く問題などないはずです。

ことあるごとに「個人情報の使用同意書」などの書類を取るように指導され、実際に取っているにも関わらずその情報を事例検討ですら使用しないのであれば、一体いつ使うための同意書なのでしょう。

本気で事例検討してその事例の方や検討会に参加している介護職に価値があるものにするのであれば、出せる情報は全て出した上で事例検討するべきです。

でないと表面上の情報から一般的な意見が出るだけのまるで意味のない事例検討になってしまいます。

そして実際そうなっています。

 

話は変わりますが、地域包括支援センターが主体となって開催している「地域ケア会議」というものがあります。

実際に担当している利用者のケアプラン・情報をケアマネジャーが事例として提供し、その利用者の現状の課題や目標、阻害している要因などを多職種で話し合い、意見を出し合うことでより良いケアマネジメントに繋げることを目的とした会議です。

私も何度か参加したことがあるのですが、よくある事例検討会と同じで個人情報は隠して資料が作られているので、個人が特定できない状況で会議は進められます。

自分が事例提供者として参加していたケア会議の途中で、参加されていた専門職の一人が「この方、誰だかわかってしまいました」と言われました。

たまたま事例で取り上げた利用者の方を知っておられ、断片的な情報から個人が特定できたようです。

別にそのこと自体はたいしたことではないのですが、誰かわかる前とわかった後では、その専門職の方の意見やアドバイスの内容が全く違ったのです。

誰かわかる前は、一般的でありきたりな内容の意見ばかりでしたが、誰だか特定できてからは、その方の生活状況にピンポイントに合わせた意見を言われるようになり、とても参考になりました。

本来、事例検討とはこうあるべきだなとその時に思いました。

 

理由2:ノーリスクの人に本気の意見は出ない

同組織の人だけで事例検討を行う場合は、参加者全員がその事例の方に関わっていることも多いのでまだ価値はありますが、外部の研修会などでほぼ初対面の人間同士が全く知らない方の事例検討をしたところで、有効な意見が出るとは思えません。

どんな意見を言っても言わなくても、自分自身には何の影響もないような無責任な状況で本気で意見をする人などいません。

どうせやるなら、直接その事例の方に日々関わっており、事例検討の内容が明日からの自分の仕事と直結してそこに責任も乗っている状況の人達のみで事例検討を行うべきです。

 

介護は「直接関わってナンボ」だと思います

 

理由3:事例検討が役に立った記憶がない

事例検討会をすればその時は勉強したような、利用者のことがよりわかったような、何か気づきを得たような気になりますが、次の日からその事例の方に対するケアが何か変わったということはありません。

事例検討会に限らず他の研修でもそうですが、参加しているときは勉強している気になりますが、翌日の業務に戻れば研修のことなどすっかり忘れていつもの業務に戻るだけです。

事例検討で話し合われた内容が次の日から即役に立つようなことがあるとすれば、それは意見を提案した方がとんでもない知識と技術を持っているスーパーアドバイザーか、逆に事例担当者がまともなケアを全くできていないかのどちらかです。

仮にも資格を持った人間が何ヶ月も何年も関わってきているケースを事例提供しているのであれば、その人以上にわかる人などいないのが実際のところではないかと思います。

 

それでも事例検討をするのであれば

どうしても事例検討をするのであれば、「ディベートの訓練」として参加するのがオススメです。

多くの事例検討は時間が決められています。

事例を紹介する時間、質問する時間、意見を述べる時間、まとめの時間など。

ファシリテーターがいたりいなかったりすると思いますが、自分が事例を提供する立場であれば、いかにわかりやすく事例を紹介し、質問にはっきりと答えることができるかどうか。

アドバイザーとして参加するのであれば、誰よりも多く質問し有益な意見を出せるかどうか。

「限られた時間で情報整理し発言する訓練の場」として参加するのであれば、参加者全員が同じ意識で参加していることが前提にはなりますが、事例検討も価値があると思います。

 

あと、事例検討する場合、必ずと言って良いほど「困難事例」を事例として取り上げます。

こんな難しいケースで困ってるので意見を下さい、という流れです。

先ほども書きましたが、一人の専門家が悩んで解決できない問題を、初見でみた人がその場で解決案を出せるとは思えません。

皆でウンウン悩んで結局解決できずにモヤモヤして終わるだけです。

どうせ事例検討をするならば、困難事例を取り上げるのではなくて「成功事例」を取り上げてするべきです。

「自分はこういう方に対してこういうケアプランでもってこんな支援をすることで利用者の満足度を上げました」

という成功した事例を皆で共有する方が遙かに価値があります。

ただ、困難なケースを事例として提供するよりも、成功したケースを事例として提供する方が難しいです。

何を持って成功とするかは人によりけりですし、また自分の手の内を晒すようでかなり抵抗感があります。

だからこそ価値もあります。

 

まとめ

なぜか介護の研修は事例検討が多いのですが、現状の事例検討は本当に意味がないので考え直すべきです。

 

せめてイニシャルはやめて欲しいです

 

 

 

 

事例検討
スポンサーリンク
オムツと介護の知識